株式会社設立の流れをご説明させていただきます。
上から順になっています。なお、当事務所にお任せいただいた場合、一部(会社実印の作成、現金出資の払込実施、現物出資の資産引継実施、銀行口座の開設)を除いて全てこちらで請負わさせていただきます。(原則、実費込25万円+謄本・印鑑証明実費)
1.類似商号のチェック
似た商号・同一商号が同一市区町村内に存在しないかチェックをします。本店予定地の管轄登記所で行います。
現在は登記における審査基準も緩やかになり、基本的に同一住所の同一商号でないかぎり、登記申請書は受理されます。しかしこれは類似商号が合法として認められたわけではなく、同一類似商号があった場合の争いは当事者間に任されたことになっています。
トラブル防止のためにも、かならず行いたいものです。
なおインターネットの登記情報サービスを利用して、類似商号の調査を行うこともできます。
万が一にそなえて、いくつか候補を考えておいたほうがいいでしょう。
2.会社実印の作成
同一商号がないと確認されたら、それをもとに会社の実印を作成します。
スピード作成で1日でできる業者もありますが、本格的な印鑑ですと1週間程度見込んでおいたほうがいいでしょう。以下の印鑑が俗に「三点セット」と呼ばれるものです。
・会社実印・・登記所に登録する印鑑です。重要な法律文書(契約書など)に押印したり、役所への申請・届出など法的に重要な文書に押印します。扱いは個人の実印と同じく慎重にしてください。
会社の実印は、非常に大事なものですので絶対に他人預けるなどはやめてください、無断で印影をとられるのも好ましくないので金庫などにいれて管理することをおすすめします。
・銀行印・・・銀行での取引に用いる印鑑です。いわば「金庫の鍵」のようなものですから、セキュリティ上は会社実印と別のものにしておいたほうがいいでしょう。
・社判・・・・いちばんよく用いる印鑑だとおもいます。通常の文書や領収書など日常的にもちいる文書に押印します。
3.議事録・定款の作成
会社の実印がそろったら、議事録・定款などに押印をおこない、書類をすべて作成します。
4.公証人による定款認証
公証役場で会社の定款の認証をうけます。これは定款という自主的ルールが公証役場で公的に認証されたことによって、会社の組織面が備わったことを意味します。
認証まえにFAXを送付すれば、事前にチェックしてくれる公証役場が多いです。認証後は原本が公証役場に保存され、定款謄本の交付が受けられます。(2通くらいもらっておいたほうがいいでしょう)
なお定款はワープロでつくってかいませんが、印紙税法の定めにより紙の定款原本には収入印紙4万円の貼付が必要です。
いっぽう、電子定款を利用すれば印紙税の適用がないので、4万円節約できます。(当事務所にご依頼いただいた場合、電子定款で申請させていただきます。)
5.金銭の払込、現物出資財産の引継
定款認証後、会社の資本金となる現金の払込・現物出資の資産の引継等を行います。これにより会社の資産的な面が備わったことになります。
現金については、現在は個人で利用している口座に払込金額に相当する金額を振り込んだ通帳ページのコピーをとればそれが払込みの証明として認められます。(発起設立の場合)現物出資の場合は、500万円までは会社法による検査などの規制がなく実行できます。
6.登記申請書類一式の提出
さて組織面、資産面が備わったのでいよいよ、法的な面を備えることで会社として成立させることになります。登記所に必要書類一式を提出すると、法的に会社が成立します。
すなわち登記申請日=会社の設立日となります。
大安吉日や記念日などをえらんで登記申請する人もおおいようです。
仮に書類に間違いがあったら?と気にする人もいらっしゃいます。多少の間違いでしたら登記所におもむいて「補正」という手続きをとれば、さいしょの申請日=会社設立日となります。(あまりに間違いが多くて、直すことができないと「取下げ」になります。この場合、当初の申請日も無効になるので、もういちど登記申請した日が会社設立日となります。)
7.謄本(登記事項証明書)などの交付
登記所に登記申請にいくと、申請日から7~10日くらい後の「補正日」という日付を教えてくれます。この日に会社設立の登記申請書に、間違いがなかったか教えてくれるのです。
補正があれば、その場でなおしましょう。(実印をわすれずに)補正がなければ、登記事項証明書(謄本)や印鑑証明が発行できます。
謄本(登記事項証明書)の提出先は、銀行口座開設・税務署・都道府県税事務所・市区町村事務所・賃貸借契約などがあります。これに予備を見込んだ枚数を請求してください。印鑑証明は謄本(登記事項証明書)ほど使われませんが、これも必要枚数だけ請求してください。(謄本1通1000円、印鑑証明書1通500円)
8.開業届の提出、銀行口座の開設
税務署・都道府県税事務所・市区町村役場に開業届を提出します。税務署には必要に応じて、青色申告の承認申請書、源泉所得税の納期の特例の届出書、給与支払事務所の開設届出書などを追えて提出します。(青色申告の承認申請書は、提出しておいたほうがいいでしょう)
あとは銀行で口座を開設し、資本金から必要な金額を振り替えれば会社が動き出します。